人工呼吸器の患者を看護し始めて、最初につまずくのが用語の理解…。
聞いたこともない英語表記の単語が頭上を飛び交います…。
そこでこのような悩みが出てきます。
覚える用語が多すぎて心折れそう…
看護師
この記事では、以下の内容を解説します。
- 人工呼吸器を扱うための必須ワードの意味
- アセスメントの方法
用語の意味が分かれば患者理解が格段にできますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
人工呼吸器の必須ワード15選!どこよりも簡単に解説
難しそうな言葉ばかりで嫌になる…
看護師
しりんじ
そこでこの章では、人工呼吸器を理解する上で必須の15つのワードを簡単に解説します。
- FiO2
- ETCO2
- PEEP
- PaO2・PaCO2
- P/F比
- PS
- VTe・VTi
- MV
- I:E比
- リーク
- コンプライアンス
- トリガー
- プラトー
- バッキング
- ファイティング
しりんじ
どんな意味で使われているのかを少し知っておくだけでも、人工呼吸器に対する苦手意識はなくなります。
では、1つずつ詳しく解説します。
FiO2
FiO2(fraction of inspiratory oxygen)の略称で「吸入中酸素濃度」のこと。
- 基準値:21%(空気中)
ETCO2
ETCO2(end―tidal carbon dioxide tension)の略称で、「呼気終末二酸化炭素分圧」のこと。
装着例は、以下の画像をご覧ください。
出典:IMI株式会社
- 基準値:35〜45mmHg
しりんじ
PEEP
PEEP(PositiveEnd-expiratory pressure)の略称は、「呼気終末陽圧型人工呼吸」のこと。
しりんじ
以下の画像は、モニター波形で見たPEEPです。
出典:市立御前崎市病院/呼吸の仕組みと人工呼吸器2 【臨床工学科】
呼吸仕事量や肺損傷部位への負担を軽減します。
PaO2・PaCO2
PaO2(血液中の酸素分圧)・PaCO2(血液中の二酸化炭素分圧)のこと。
- PaO2::90 ~100mmHg
- PaCO2::36〜44 mmHg
P/F比
P/F比とは、P(PaO2)とF(FiO2)の比率のこと。
- 計算方法:P/F比=PaO2÷FiO2
PS
PS(Pressure support)とは、「圧支持換気」のこと。
- 設定基準:10~15cmH2O程度
※肺の硬さや年齢により設定は変わります
VTe・VTi
VT(tidal volume)とは「1回換気量」であり、「VTe=呼気」「VTi=吸気」のこと。
- 基準値:VT(1回換気量)= 体重(kg)× 6〜8mmHg
しりんじ
MV
MV(minute volume)とは、「分時換気量」のこと。
- 計算方法:MV(分時換気量)=VT(1回換気量)×R(呼吸数)
1分間に肺に出入りする換気量から肺損傷などの評価ができます。
I:E比
I(吸気):E(呼気)の比率であり、「吸気時間呼気時間比」のこと。
- 例:「1:2」を「1:3」に設定変更すると、気道内圧が上昇
気道クリアランスや損傷などの状況に合わせて設定変更します。
リーク
人工呼吸器以外にも、血液や輸液漏れでも「リークがある」と言いますよね。
リークがあると「低換気アラーム」が鳴ります。
しりんじ
コンプライアンス
コンプライアンスとは柔軟性のことで、物質の伸び縮みを表現する際に用いられる言葉。
コンプライアンスが悪い肺の患者へ呼吸器を装着した場合、PEEPをかけることで肺への負担軽減や膨らみやすくします。
しりんじ
トリガー
人工呼吸器の設定の一つ。
トリガーは、以下の2種類。
- 圧トリガー:患者の吸気で回路内の圧力が変化して感知
- フロートリガー:患者の吸気で回路内に空気の流れが発生して感知
フロートリガーの方が圧トリガーよりも感知能力が高いとされています。
プラトー
プラトー(plateau)のこと。
プラトーによりフロー(空気の流れ)がない状態の静的コンプライアンスの計算方法は、以下の通り。
- 計算方法:静肺コンプライアンス(mL/cmH2O)= VT(1回換気量)/プラトー圧
プラトー圧をかけると膨らみやすい肺胞から膨らみにくい肺胞へ空気を流入させることができます。
つまり、コンプライアンスの悪い肺胞へも空気を届けられます。
バッキング
バッキング(backing)は、以下の意味で用いられます。
例えば、加湿器による回路内の結露が誤って患者に垂れ込むとバッキングの原因になります。
その他、原疾患による咳嗽症状なども考えられます。
ファイティング
ファイティング(Fighting)は、以下の意味で用いられます。
患者にとって自分のリズムで呼吸できないため、かなりの苦痛が強いられます。
強制換気(A/Cモード)なら低換気アラームが鳴ります。
まとめ: 「必須ワードの理解=患者理解」
人工呼吸器を装着している患者は重症であり、予断を許しません。
そのため必須ワードはしっかりと覚えておき、医師の指示や先輩のアドバイスを的確に理解できる準備をしておきましょう。
また「必須ワードの理解=患者理解」です。直接看護スキルが上がるわけではありませんが、重要な基礎知識です。
この記事を機会に、ぜひ理解を深めてみましょう。
Twitterでブログ更新情報を発信するので、ぜひフォローしてお待ちください。
第3回は「人工呼吸器の種類」の記事です。
看護師
こんな経験がある方は、ぜひご活用ください!