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【救外ナース監修】人工呼吸器すべてのアラームの原因と対応を解説【緊急度チェック付き】

人工呼吸器のアラームが鳴り、焦った経験はありませんか?

見慣れない大きな機械に繋がれている患者の看護は、想像以上にストレスです。

しりんじ

私も新人時代はアラームが鳴る度に変な汗を掻いていました

そこでこのような不安を抱えていませんか?

アラームが鳴ったらどうしよう…
対応方法が分からないし、そもそも機械が苦手なんだよね
先輩に相談したいけど、アセスメントの方法が分からない…

看護師

人工呼吸器のアラームは原因ごとに対応方法が決まっているので、覚えるだけで不安が解消されます。

しりんじ

私はこの記事で解説することを知って自信がついたよ

アラームごとに原因と対応を詳しく解説しているので、辞書のように使ってもらえると嬉しいです。

人工呼吸器のアラームの原因と対応

人工呼吸器のアラームの原因と対応

アラームが鳴ったらどうしよう…

看護師

人工呼吸器装着中の患者を受け持っていると、アラームが鳴らないか不安になりますよね。

そこでアラームの原因と対応について解説します。

しりんじ

呼吸器のアラームは患者の訴えだよ!

適切に対処できると先輩からも一目置かれるでしょう。

1. 【緊急度:★★★☆☆】気道内圧下限アラーム

気道内圧が設定値に達していない時のアラーム。

内圧低下により肺胞の虚脱や適切な換気ができない原因になります。

原因
  1. 回路外れによるエアリーク
  2. 挿管チューブの損傷・抜管
  3. カフ圧の低下
対応
  1. 気道内圧下限の再設定(最高気道内圧の70〜80%)
  2. 回路の再接続
  3. 損傷している部品の交換
  4. カフ圧の再設定

しりんじ

この他にも、回路接続の緩みやウォータートラップの破損などもよくある原因でした

自発呼吸がある患者であれば、呼吸努力が設定値を上回っている可能性も考えられます。その場合、気道内圧下限の設定を見直しましょう。

2. 【緊急度:★★★★★】分時換気量低下アラーム

1分間の換気量が設定値に達していない時のアラーム。

必要な換気量が確保できておらず、肺の虚脱や低酸素血症の原因になります。

原因
  1. 患者の呼吸量の低下
  2. 回路外れによるエアリーク
  3. 回路の屈曲
  4. カフ圧の低下
対応
  1. フィジカルアセスメント
  2. 回路の再接続・屈曲の解除
  3. カフ圧の再設定

患者の吸気努力の具体的な原因は、以下の通り。

  • 肺病変の悪化
  • 分泌物の増加
  • 呼吸数の増加
  • 1回換気量の低下

換気低下は酸素化の低下の原因となり、病状の悪化や命に直結する重大なアラームです。

呼吸器設定や薬剤の見直し、分泌物の除去などがあります。

緊急度も高く、速やかに対応しなければ患者を危険に晒してしまいます!

3. 【緊急度:★★★★☆】無呼吸アラーム

呼吸を感知できない(無呼吸)時のアラーム。

低酸素血症や呼吸停止の可能性があります。

原因
  1. 無呼吸・呼吸停止
  2. 過鎮静
  3. 回路外れ
  4. トリガー設定の不良
対応
  1. フィジカルアセスメント
  2. 鎮静評価(RASS)
  3. 回路の再接続
  4. トリガー設定の見直し

トリガーとは患者の自発呼吸を感知するシステムのこと。自発呼吸が「弱い・無い」と感知できず、呼吸器が次の動作に移れません。

4. 【緊急度:★★★★★】気道内圧上限アラーム

気道内圧が設定値を超えている時のアラーム。

気道損傷や換気流の停滞による換気不良などの原因になります。

原因
  1. 痰の貯留
  2. 呼吸器の設定不良(ファイティングやバッキング)
  3. 肺コンプライアンスの低下
  4. 挿管チューブや人工鼻の閉塞
  5. 回路屈曲
対応
  1. 吸引による喀痰の除去
  2. フィジカルアセスメント
  3. 人工呼吸器の設定の見直し
  4. 閉塞や屈曲の解除

ファイティングやバッキング時に人工鼻に分泌物が付着し閉塞することがあるので注意!

この他にも加湿不足のために分泌物が乾燥し、挿管チューブ内で固まり、閉塞の原因になることもあります。

注意
肺コンプライアンスが低下し気道内圧が上昇すると、気道や肺損傷の原因に。速やかに設定値の変更を医師に依頼を

5. 【緊急度:★★★★★】換気回数上限アラーム

換気回数が設定値よりも多い時のアラーム。

換気回数が増加すると適切な呼吸(換気)ができず、体力を消耗する原因になります。

また、患者は呼吸苦を感じている可能性が高いことも知っておきましょう。

原因
  1. 呼吸状態の増悪
  2. 全身状態の悪化
  3. 回路内の結露
  4. PSの設定値が低い
対応
  1. フィジカルアセスメント
  2. 回路内の結露の除去
  3. PS設定の見直し

回路内の結露が振動すると自発呼吸と勘違いし、不要な換気(PS)が作動します。

また、呼吸をはじめ全身状態の悪化が原因なら緊急性は非常に高いです。

以下の原因が考えられます。

  • 呼吸苦による努力呼吸の増加
  • 発熱や疼痛による呼吸回数の増加
  • 不安や興奮などの精神状態の変化
  • 過小鎮静による過覚醒

患者の苦痛を取り除くためにも換気回数が増加する原因を発見し、対処しましょう!

6. 【緊急度:★☆☆☆☆】電源アラーム

電気供給がない時のアラーム。

主電源が外れ予備バッテリーで動かしている状態は非常に危険です。

原因
  1. コンセントの脱落
  2. 電源がOFF
  3. 停電
対応
  1. 電源の接続確認
  2. 予備バッテリーの確認

基本的に主電源がなくなっても予備バッテリーが作動するため、アラームが鳴ったからといって焦らなくてもOK!

しりんじ

主電源が非常用電源(赤コンセントに接続されているかを勤務始じめに確認しよう

もし電源がOFFとなり人工呼吸器が作動しないなら、用手換気(バックバルブマスク)が必要です。

患者の呼吸を確保しつつ、原因の分析と解決をしましょう。

7. 【緊急度:★★☆☆☆】ガス供給アラーム

人工呼吸器へ供給される酸素や圧縮空気が低下している時のアラーム。

人工呼吸器は中央配管からのガス供給がなければ正常に作動しません。

原因
  1. 配管の接続不良
  2. 配管の接続忘れ
  3. 配管の破損
対応
  1. 配管の接続・交換

しりんじ

緑色のチューブが「酸素」、黄色のチューブが「圧縮空気」だよ!

黄色の配管がない部屋は、コンプレッサーで作動します。そのため、黄色配管が見当たらないことも!

8. 【緊急度:★★★☆☆】酸素濃度アラーム

設定された範囲の酸素濃度(FiO2)で吸気できていない時のアラーム。

低酸素脳症や各種臓器に必要な酸素が供給されなくなるリスクがあります。

原因
  1. 中央配管のトラブル
  2. 酸素濃度センサーの異常
  3. 回路の破損・接続不良によるリーク
対応
  1. 配管の交換・修理
  2. 酸素濃度センサーの交換
  3. 呼吸器本体の交換
  4. 回路の再接続・交換

低酸素状態が続くと脳や全身の組織へ供給する酸素が不足します。

注意
最悪の場合「低酸素脳症」や「多臓器不全」などのリスクもあるため、注意が必要!

9. 【緊急度:★☆☆☆☆】温度センサアラーム

加湿加温器の温度が異常な時のアラーム。

高温になると気道粘膜の損傷になりかねません。また、回路内外の温度差で結露が多くなる可能性もあります。

原因
  1. ヒーターの故障
  2. ヒーターの接続不良
  3. 加湿加温器の設置環境が悪い(室温が低い)
対応
  1. ヒーターの交換・再接続
  2. 室温調整

しりんじ

温度プローブのところに扇風機の風が当たり、外気が冷えたことでアラームが鳴った経験があるよ

特に重症心身障害児など体温調整の難しい患者は、扇風機を回していることがあるので、適切な環境調整をしてあげましょう。

10. 【緊急度:★☆☆☆☆】水位異常アラーム

加湿加温器の水位が低い時のアラーム。

必要な加湿ができていないので、乾燥による粘膜損傷や乾性咳嗽の原因になります。

原因
  1. バック内の滅菌蒸留水がなくなった
  2. 加湿加温器内の滅菌蒸留水がなくなった
  3. 加湿加温器の破損による漏れ
対応
  1. 滅菌蒸留水の補充
  2. 加湿加温器の交換

滅菌蒸留水バックの交換は簡単にできるため、原因を探る前に新しいものに交換しましょう。

人工呼吸器のトラブルシューティングは「DOPE」

人工呼吸器のトラブルシューティングは
DOPEとは人工呼吸器のトラブルとして考えられる原因
の頭文字をとった略語です。

  • D:Displacement(チューブの位置異常)
  • O:Obstruction(気道の閉塞)
  • P:Pneumothorax(緊張性気胸)
  • E:Equipment failure(装置の異常)

臨床現場では、以下のように略されることがあります。

  • い:位置の異常
  • き:気胸
  • つ:詰まった
  • め:メカの異常

アラームが鳴った際は、これら原因を一つひとつ潰していきましょう。

具体的には、以下の通り。

Displacement(チューブの位置異常)で確認すること
  1. 挿管チューブの位置
  2. 1回換気量が正常
  3. 胸郭の動きや呼吸音

挿管チューブが抜けたり位置がズレていたりすると、1回換気量の維持ができません。

また、胸郭の動きや呼吸音から片肺挿管などのトラブルがないかもアセスメントできます。

Obstruction(気道の閉塞)で確認すること
  1. 痰の量・性状
  2. 吸引頻度やその時の状況
  3. 挿管チューブ内や人工鼻の閉塞
  4. 挿管チューブ・回路の屈曲・閉塞

特に分泌物が量が多く固い患者は、気道閉塞に注意しましょう。

加湿や吸引にて分泌物の除去をし、換気不良を予防することが重要です。

また、意外と見落とすのがチューブの屈曲です。まずは屈曲がないのを確認し、その後チューブ内の閉塞を疑いましょう。

Pneumothorax(緊張性気胸)で確認すること
  1. 胸郭の動きや呼吸音
  2. 胸部レントゲン(緊急性ではない時)

急激な酸素低下や呼吸状態の悪化があれば、速やかに医師に報告し、適切な処置をしましょう!

Equipment failure(装置の異常)で確認すること
  1. 呼吸器本体の故障
  2. 回路外れや破損によるリーク

上の3つと異なり「E」は機械が原因です。

そのため、患者を用手換気(バックバルブマスクやジャクソンリース)に切り替えて、冷静に問題を探しましょう。

その際、人工呼吸器にはテスト肺を装着し、作動確認をします。それでもアラームが鳴るなら機械の問題で間違いないでしょう。

まとめ: アラームの原因がわかれば対応は怖くない

アラームの原因がわかれば対応は怖くない
人工呼吸器のアラームが鳴ると不安な気持ちになりますよね。

同時にアラームの原因がわからず、テンパったら最悪…

看護師

そこでアラームの原因と対応方法について常日頃から考えておく必要があります。

この記事で紹介した各アラームの原因と対応をすべて覚える必要はありません。分からなかったり、振り返ったりする際に辞書として使ってみてください。

何度も調べる間に、自然とあなたはアラームの原因と対応が分かり、焦ることなく対処できるようになります。

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第5回はいよいよ「人工呼吸器装着中の患者の看護」の記事です。

何を観察すればいいか分からない…
自分の観察していることは本当に必要なこと?
もっと看護の幅を広げたい

看護師

しりんじ

これら悩みを解決するための記事にするよ

こんな経験がある方は、ぜひご活用ください!

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