何気なく使っているけど、体の中でどんな作用をしているの?
看護師
体に取り込まれた薬は「吸収→分布→代謝→排泄」の順で作用します。
これらの作用機序を理解しておくと、薬効の程度や発現時間を予測した看護ができます。
この記事で解説することは、以下の2つ。
- 体内に取り込まれた薬剤が体からなくなるまでの過程
- 薬を使うなら肝機能・腎機能障害の患者には注意!
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目次
体内に取り込まれた薬剤が体からなくなるまでの過程
薬剤は内服や注射で体内に取り込まれ、以下の4つの過程で作用します。
- 吸収(absorption)
- 分布(distribution)
- 代謝(metabolism)
- 排泄(excretion)
しりんじ
では、詳しく解説します。
吸収(absorption)
薬物は体内に入ると小腸・肝臓から吸収されます。一部代謝されることで薬効がなくなります(初回通過効果)。
代謝されなかった薬剤のうち、作用部位に到達した者が薬効として発揮されます。
そのため、投与経路の違い(内服・注射・発布など)で同量であっても、効果の程度やタイミングが異なることが特徴です。
分布(distribution)
薬剤が血液中から作用部位(血管外の組織)へ到達することを分布と言います。
血液中に吸収された薬剤は、以下の2つに分類されます。
- 結合型:血液中のタンパク質と結合
- 遊離型:単独で存在
薬効があるのは「遊離型」のみであり、血中の作用部位が同じ濃度(平衡状態)になるまで分布し続けます。
代謝(metabolism)
薬物の分子構造を変えて親和性を高めることを代謝と言います。
簡単に言うと、薬剤を排泄しやすい形に変えるイメージ。
肝細胞になる薬物代謝酵素(CYP)により薬剤は代謝され、薬効を失います(初回通過効果)。
排泄(excretion)
血液中の薬剤を体外に出すことを排泄と言います。
薬物の血中濃度を下げる腎臓の働きであり、排泄経路は「尿」です。
薬を使うなら肝機能・腎機能障害の患者には注意
肝臓や腎臓の機能低下がある患者は、薬剤を代謝・排泄できず、血中濃度が維持されやすい特徴があります。
そのため「作用時間の延長」「作用効果の増強」などのリスクがあると覚えておきましょう。
では、肝・腎機能障害の患者の特徴を踏まえて解説します。
肝機能障害の患者
肝機能障害だと「代謝能力」が低下しているため、アセトアミノフェンは禁忌です!
薬剤を排泄しやすい形に変えられず、血中濃度が上昇しやすくなるからです。
つまり少量投薬でも効果が出過ぎたり、薬効が現れるまでに時間がかかったりします。
肝障害のリスクがある薬剤の代表として、アセリオがあります。アセリオは感代謝される薬剤の一種で、消化器科でもよく使われる解熱鎮痛剤の一種です。
しりんじ
看護師
肝疾患患者にアセトアミノフェンを使う際は、検査データや患者の状態と合わせて考えよう!
腎機能障害の患者
腎機能障害だと「排泄能力」が低下するため、NSAIDsが禁忌です!
尿として体外に排泄ができないため、血中濃度が上昇するからです。
つまり少量投薬でも効果が出過ぎたり、薬効が現れるまでに時間がかかったりします。
腎障害のリスクがある薬剤の代表として、ロピオンがあります。ロピオンは消化器外科の術後疼痛でよく用いられる注射薬です。
一方で、プロスタグランジン合成阻害作用による腎血流量が低下で、腎障害のリスクがあります。
しりんじ
また、ロキソニン(ロキソプロフェン)内服もNSAIDsです。よく出るお薬だけにノーマークという方もいるなら、気をつけましょう。
まとめ: 作用機序を理解してから薬剤は使おう!
以上、薬が体に取り入れられ排出されるまでのメカニズムや消化器科で注意すべき薬についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 体内に取り込まれた薬は「吸収→分布→代謝→排泄」をされる
- アセトアミノフェンは肝代謝であるため肝機能障害患者への投薬は注意!
- NSAIDsは腎血流量の低下を招くため腎障害患者への投薬は注意!
消化器官は薬剤吸収に直接関わります。そして消化器科の疾患を抱えた患者は、薬剤の代謝や排泄能力が低下している場合があります。
そのため、薬の選択や投与量を慎重に行う必要があります。
しりんじ
看護師
この記事を参考に消化器科の薬剤に強い看護師になれれば幸いです。